新人教育がうまくいく秘訣は?
「教える基準」それは、必ずしも立派なマニュアルとは限りません。
- 診療の流れが整理されている
- 目安となる判断基準が共有されている
- 新人教育の進め方が整理されている
こうした 教える土台があるだけで、歯科衛生士の新人教育は変わります。
前回のブログでは、「新人教育は4月からスタートではなく、事前準備から始まっている」というお話をしました。

今日は、その続きとして、新人教育の土台になるマニュアルの作り方についてまとめてみました。
マニュアルといっても、分厚い冊子を作るわけではありません。
まずはシンプルに、普段の診療を見える形にすることから始めてみましょう!
岡村乃里恵歯科衛生士の育成に携わって20年
たくさんの新人さんと出会い、成長していく姿を見てきました。
このブログでは、私・岡村が、現場で実際に感じてきたことをまとめています!


STEP1:まず「流れ」を書き出す


マニュアルづくりの最初のステップは、流れを書き出すこと
ラ・プレシャスが研修を受ける時にも、必ず流れの確認を行います。
おすすめは、成人メインテナンスの流れから整理すること。
例えば、
1. 挨拶・導入
2. 問診(体調、服薬、前回からの変化など)
3. 口腔内診査
4. 歯周組織検査
5. 出血確認
6. 処置
7. セルフケア指導
8. 次回の説明
このように、普段、当たり前に行っている流れを整理していきます。
実際に書き出してみると、「私はここを先に見る」「私はこの順番で説明する」など、同じ医院の中でも、人によって少しずつやり方が違っていることに気づくことがあります。
違いがあること自体は自然なことです。
ただ、新人さんにとっては「先輩によって言うことが違う」と、感じやすいポイントにもなります
だからこそ、まずは新人指導のために、医院としての基本の流れを整理しておくことが大切です。
3年ぶりに新人さんを迎えた医院のお話
先日、岡村がサポートしている、ある医院さんに、3年ぶりに新人さんが入ることになりました。
そこでメインテナンスの流れをみんなで確認してみると、実は先輩それぞれで順番や考え方が少しずつ違っていました。
もちろん、どのやり方にもそれぞれの経験から生まれた理由がありますが、
新人教育を考えると、まずは、「基本の形」を決めておくことが大切です
その医院でも話し合いながら、「まずはこの流れを標準にしよう」「こういう場合はこの方法もあるね」と、標準と応用を整理することができました。
このように、一度言葉にして共有するだけでも、新人教育はぐっと進めやすくなります。


STEP2:次に「判断基準」を整理する
流れを整理したあとに大切なのが、判断基準をそろえることです。
新人さんが臨床で一番迷うのは、技術よりも判断の部分です。
例えばメインテナンスでも、
- 出血がある場合はどうするのか
- ポケット何mmからSRPを行うのか
- プラークコントロールが悪い場合はどう対応するのか
- プラークコントロールが悪いとはどういうことか・・
こうした判断は、経験がある人にとっては自然にできることでも、新人さんにとってはとても難しい部分です。
例えばこんな場面があります。
大量出血がある部位を見つけたとき、新人さんは、
「スケーリングしていいのかな?」
「他のところと同じように触って大丈夫かな?」
「記録だけでいいのかな?」
と迷うことがあります。また、PCRが高かった場合も、
「今日は処置を優先するのかな?」
「セルフケア指導を優先するのかな?」
このように判断に迷うことがあります。
このとき、
- 「出血があれば炎症のサインとして確認する」
- 「ポケット4mm以上は必ず記録しておく」
- 「PCRが高い場合(○%以上)はセルフケア指導の時間を取る」
など、判断基準があるだけで、新人さんは安心して行動できるようになります。
もちろん患者さんの状態は一人ひとり違うため、すべてをマニュアル化することはできませんが、
“医院としての判断基準”が共有されていることは、新人教育の大きな支えになります
そして実はこの判断基準は、新人さんのためだけではありません。
教える側にとっても、「どこまで任せていいのか」「どのタイミングでフォローするのか」を判断しやすくなる、というメリットがあります。
STEP3:チェック表にする
流れと判断基準が整理できたら、次は、チェック表にすることをおすすめしています。
例えば、
| 項目 | 見学 | 先輩と一緒に | 一人でできる |
| 問診 | □ | □ | □ |
| 口腔内診査 | □ | □ | □ |
| 歯周組織検査 | □ | □ | □ |
このように進捗を見える形にしておくと、
- 新人さん自身が成長を実感できる
- 教える側も状況を把握しやすい
というメリットがあります。
教育の現場では、どうしても「できていないところ」に目が向きがちですが、こういったチェック表があると、できるようになったことも見えやすくなります。
STEP4:動画を組み合わせる
マニュアルは、文章だけで作る必要はありません。
例えば、
- ミラー操作
- スケーラーの持ち方
- ポジショニング
- スケーリングの動き
こうした内容は、文章よりも 動画の方が理解しやすいことも多いです。
ラプレッスン for クリニックには、医院内で共有できる プレイリスト機能 があります。
新人さんに見てほしい内容をあらかじめまとめておくことで、「まずはここを見てみようね」と、学びのスタート地点を示すことができます。
教える側にとっては、毎回ゼロから説明しなくてもよくなり、新人さんにとっては、いつでも同じ内容を見返せる安心感につながります。


STEP5:マニュアルは「育てていくもの」
最後に大事なことがあります。
マニュアルは、最初から完成させる必要はありません
実際に使いながら、「ここ分かりにくかったね」「この順番の方がやりやすいね」と少しずつ修正していくことで、医院に合ったマニュアルになっていきます。
マニュアルは、作って終わりではなく、少しずつ育てていくものです。
まとめ:シンプルなマニュアルでいい
新人教育をスムーズに進めるために、マニュアルはとても心強いツールになります。
難しく考えなくて大丈夫です、まずは、
- 診療の流れを書き出す
- 判断基準を整理する
- チェック表を作る
- 動画を組み合わせる
この4つから始めてみてください。
完璧なマニュアルを作ろうとするより、シンプルな形でスタートすることが大切です。
少しずつ整えていくことで、新人さんにとっても、教える側にとっても、安心して学べる環境が作られていきます。



