先輩と後輩の“意図と受け取りのズレ”
- 「私の場合はね」
- 「他の先輩はまた違うかも」
- 「正解は1つじゃないよ」
やさしさから伝えているその言葉が、もしかすると後輩や新人さんを“迷わせている”ことがあります。
もちろん、ここでお伝えする内容がすべての人に当てはまるわけではありません。
- 「伝え方を少し見直してみようかな」
- 「新人さんの気持ちをもう一度想像してみようかな」
読み進める中で、そんなきっかけになれば嬉しいです。
どうぞ、肩の力を抜いて読んでみてくださいね。
岡村乃里恵歯科衛生士の育成に携わって20年
たくさんの笑顔に出会い、時には悩みながら、日々“教える”という時間と向き合ってきました、
このブログでは、私・岡村が、現場で実践していること、そして「うまく伝わらない」ときのヒントをまとめています!


① 教える時の“あるある”「正解は1つじゃないよ」
教育の場でよく出てくる言葉があります。
- 「私の場合はこうしてるけどね」
- 「他の先輩はまた違うかも」
- 「正解は1つじゃないよ」
一見とても柔らかい言葉で、先輩としては“押し付けたくない”という思いが込められています。
しかしこの言葉には、先輩と後輩の“意図と受け取りのズレ” が生まれることがあります。
先輩はこういうつもりで伝えている
- 「あなたのやり方を尊重したいよ」
- 「いろんな考えがあっていいよ」
- 「自由に工夫していいよ」
- 「型にはめたくない」
後輩にはこう聞こえている
- 「どれが正しいのかわからない…」
- 「結局どれが基準?」
- 「間違ったら叱られそう」
- 「迷うから決めてほしい…」
新人さんはまだ「判断軸」を持っていないため、自由度が高い言葉ほど不安が強くなります。
② 実は、先輩の“自信のなさ”が隠れていることもある
「正解は1つじゃないよ」という言葉は、優しさだけでなく、教える側の“不安” から生まれることもあります。
先輩の本音としては
- 「私のやり方が絶対に正しいとは言い切れない」
- 「他の先輩と違っていたらどうしよう」
- 「押し付けたくない」
- 「間違っていたら恥ずかしい」
この“自信の揺れ”が、言葉を曖昧にしてしまうのです。
でもその曖昧さが、後輩にはこう届きます。
後輩の受け取り方
- 「質問したのにハッキリしない…」
- 「先輩ごとに違うから不安」
- 「自信なさそうに見える…」
- 「結局どうしたらいいのかわからない」
教育現場で起こりやすい“すれ違い”です。


③ 教える側が抱えるジレンマ
先輩たちは、後輩の個性を尊重したい、押し付けたくない、そんな思いで言葉を選びます。
- 「私のやり方が絶対ではないから」
- 「他の先輩とも違うかもしれないから」
時には、そんな“慎重さ”や“遠慮”も混じっています。
でも、優しさのつもりで“答えをぼかす”ことが、結果的に新人さんの混乱につながることもあります。
教育の難しさは、優しさと明確さのバランス にあります。
岡村も日々、
と、試行錯誤しながら伝え方を考え続けています。
④ 初期段階では「自由よりも軸」が必要
学びの初期は、「正解は1つじゃないよ」よりも、「まずはこのやり方でやってみようね」と言い切ることも必要です。
“自由”は上級者の学び、“軸”は初心者の安心
軸を示し、その上で「慣れたら工夫してOK」と伝えると、 後輩は迷わず成長できます。
⑤ ケーススタディ:共通言語があるだけで、後輩は安心する
ある医院で、新人さんがこんなふうに話してくれました。
それぞれの先輩が丁寧に教えているのに、受け取る側は「どれを基準にすればいいのか」が分からず迷っていたのです。
そこで先輩たちと話し合い、まず “全員が同じ表現で伝えるための基本ワード” を作ることにしました(現在も少しずつ更新し続けています)。
- スケーリングでのチップの当て方は「歯面をなでるように」
- 声かけは「まず患者さんの名前を呼んでから」
といったように、“誰が言っても同じ意味になる言葉” を決めていきました。
言葉と考え方の軸がそろったことで、新人さんは基準をつかみやすくなり、教育が驚くほどスムーズに進みます
ここに“ラプクリ”が大きな役割を果たす
実は、ラプクリを制作した理由の一つが、この『共通言語をつくるため』なんです。
「医院ごと」、「先輩ごと」に言い方が違うと、新人さんは常に“正解探し”をしなければなりませんが、
- 技術の軸
- 動きの基準
- 指導で使いたい言葉
ラプクリには、こういった内容が整理されて入っていますので、先輩は、「まずはラプクリを見ておいてね。ここを基準にしよう」と安心して伝えられます。
新人さんにとっても、迷ったら “戻る場所がある”という大きな安心感 につながります。
共通教材があることで、医院全体の教育がぶれにくくなり、“誰に聞いても同じ答えが返ってくる”体制がつくれます。


⑥ 教えることは、自分の軸を見直すこと
指導の場では、自分の中の“感覚的なこと”を言語化する力が求められます。
- 「私はなぜこの順番で動いているんだろう?」
- 「どんな感覚を頼りにしているんだろう?」
自分のやり方を見つめなおすことが、教える力を育てる一番の近道です。
またこのあたりのことは別ブログで書いていきますね。
⑦ 人育てはチーム育て
教育は、個人の問題ではなく 医院全体の文化づくり。
誰に聞いても同じ言葉が返ってくる医院は、新人が育つスピードも安定します。
- 「私はこう教えてるよ」
- 「じゃあ次はこう伝えてみようか」
そんな会話を積み重ねることで、医院全体の教育力が底上げされていきます。
まとめ:やさしさは、軸とセットで
- 「正解は1つじゃないよ」は実は迷いやすい
- 先輩の“不安”が曖昧な教え方につながる
- 初期段階では、自由より“軸”
- 共通言語が新人の安心をつくる
- ラプクリは、その軸を医院全体で共有するための教材
- 教えることは、自分の軸を見直すことでもある
先輩のやさしさも、後輩の不安も、どちらもとても自然なこと。
言葉の“軸”をつくることが、教育の優しさにつながる
だからこそ、そう思います。
今日のブログが、少しでもお悩み解決の一助になれば嬉しいです。



